地域別の勉強に入るにあたって一番はじめに取りかかる
おすすめな地域がシャンパーニュ地域です。
ブドウ品種もわかりやすく、醸造工程の違いなどが理解できると
試験だけでなく実生活でも楽しめる知識として使えるのでまずは
地域別勉強の第一歩として頑張っていきましょう。
シャンパーニュ
パリから東に140kmほどの位置、ブドウの栽培地としては北限に位置する。
寒冷な地域のためアルコール発酵が終わる前に気温が下がり、
微発泡がワイン中に残ったことからシャンパーニュの歴史が始まりました。
寒冷な気候と白亜質の土壌が特徴。
シャンパーニュ地方の主要産業の一つであるシャンパーニュの売上金額は
45億ユーロでそのうち24億ユーロが輸出での売上です。(2015年データ)
パーセンテージで48%が輸出で日本は第3位の輸出先です。
白タイプの総生産量は全体の99.9% 赤とロゼは0.1%です。
ランスの大聖堂…シャンパーニュ地方の中心都市ランスにあるゴシック建築の大聖堂で
歴代のフランス王の受洗式や戴冠式が行われていた。
そこではシャンパーニュが振舞われていたことも華々しいイメージにもつながっている。
主なブドウ品種
・シャルドネChardonnay
主にコートデブランCote des Blancs地区で栽培され、ワインに熟成能力を与える。
・ピノノワールPinot Noir
主にモンターニュドランスMontagne de Reims地区で栽培され、
ワインにボディーと力強さを与える。
・ムニエMeunier
主にヴァレドラマルヌVallee de la Marne地区で栽培され、ワインに丸みを与える。
シャンパーニュの種類
・ブランドブランBlanc de Blanc
原則シャルドネのみでつくったシャンパーニュ
・ブランドノワールBlanc de Noirs
ピノノワールとムニエだけでつくったシャンパーニュ
・ロゼRoze
以下のいずれかの方法でピンク色に色づけされたシャンパーニュ
1、黒ブドウを直接圧搾する
2、黒ブドウの果皮を一定時間果汁に漬け込むマセラシオンやセニエ
3、白ワインに赤ワインを混ぜるアッサンブラージュ(ブレンド)
・ノンミレジメNon millesime
複数年の原酒を調合したスタンダードなタイプで収穫年の表記はない。
瓶詰め(ティラージュ)後15カ月の熟成義務がある。
・ミレジメMillesime
収穫年表示のブドウを100%使用することで収穫年表示が出来る。
ティラージュ後最低3年は販売できない。
・シャンパーニュの甘辛度表示
主要なAOC
●シャンパーニュ
シャンパーニュ地方でつくられるワインのほとんどはシャンパーニュです。
通常はシャルドネ、ピノノワール、ムニエを主体にアッサンブラージュ(ブレンド)しますが、
シャルドネ100%でつくられた場合ブランドブランBlanc de Blancと表記され、
ピノノワールとムニエのみでつくった場合ブランドノワールBlanc de Noirsと表記されます。
シャンパーニュ地方では、原料となるブドウを生産する村(コミューン)ごとに
格付けがなされており、村単位で「グラン・クリュ」、「プルミエ・クリュ」を名乗ります。
グランクリュのコミューン
グランクリュは100%に査定されたコミューンのブドウのみでつくられたワイン、
プルミエクリュは90~99%に査定されたコミューンのブドウでつくられたワインです。
グランクリュは最高峰ワインのプルミエクリュはそれに順ずるものとの解釈でいいです。
※試験的にはグランクリュのコミューンのみ覚えておけば間違いありません。
モンターニュドランス地区のグランクリュコミューン
・アンボネーAmbonnay
・ボーモン・シュール・ヴィスルBeaumont sur Vesle
・ブージーBouzy
・ルーボワLouvois
・マイイMailly
・ピュイジューPuisieux
・シルリSillery
・ヴェルズネーVerzenay
・ヴェルジVerzy
ヴァレドラマルヌ地区のグランクリュコミューン
・アイAy
・トゥールシュールマルヌTours sur marne
コートデブラン地区のグランクリュコミューン
・アヴィズAvize
・シュイイChouilly
・クラマンCramant
・ルメニルシュールオジェLe Mesnil sur Oger
・オワリーOiry
・オジェOger
●コトーシャンプノワCoteaux Champenois
シャンパーニュ地方で認められているスティルワインのAOCで機械収穫は認められていない。
●ロゼデリセーRose de Riceys
シャンパーニュ地方のピノノワール100%でつくられたロゼのスティルワイン。
シャンパーニュの醸造方法
1. 収穫ヴァンダンジュVendange
9月中旬~10月初旬頃、手摘みによりぶどうを収穫します。
毎年延べ12万人にものぼる収穫人数をかける。
2. 選果エプルシャージュEpluchage
収穫されたぶどうは畑の脇で選別され、未熟なぶどうや傷付いた粒は排除される。
この作業をエプルシャージュ(選果 / 悪果除去)と呼び、
手間とコストのかかる作業ですが良いシャンパン造りには欠かせない。
こうして選ばれたぶどうの房は葡萄が傷まないように、
短時間で圧搾所に運び、酸味・糖度をチェックする。
この段階でも基準値以下のものは排除される。
3. 圧搾プレシュラージュPressurage
シャンパーニュ地方独特の浅く広い圧搾機で、黒ブドウの皮の色がつかないように搾ります。
4,000kgの葡萄から、初めに最初の10樽分(=2,050ℓ)搾汁を得ます。
これは キュヴェCuveeと呼ばれ、果実風味が豊で最も澄明な果汁です。
その後、再度圧搾し500ℓの搾汁を得ます。
これはタイユTailleと呼ばれています。合計2,550ℓのみが使用されます。
4. 清澄デブルバージュDebourbage
ブドウを圧搾して得た搾汁の不純物を取り除きます。
搾汁液に亜硫酸を添加(上限50mg/l)し、同時に沈殿剤(ベントナイトなど)を加えて
果汁中の浮遊物を沈殿させ、一晩放置後、上澄み部分を別のタンクに移して醗酵に入ります。
沈殿剤を使わないメゾンもあります。
5. 一次醗酵フェルマンタシオン・アルコーリックFermentation alcoolique
通常の白ワインと同様に醗酵させ、果実に含まれる糖分がアルコールへと転換されます。
畑ごと、ブドウ品種ごとに、別々に樽やタンクで10~15日間程度醗酵させます。
この醗酵・熟成過程で樽やタンクごとの味わいの個性をつかむことで、
その後のブレンド比率を決定します。
6. 調合アッサンブラージュAssemblage
翌2月頃、最初の澱引き後にヴァンドレゼルヴ(前年あるいは前々年収穫のワイン)を含め、
第一次醗酵で得た、年度、畑、種類の違うワインを数十種類ほど各メーカーのブランドイメージに沿って混合し、味わいを均一化させます。
この際、通常は年月を経たワインに新しいワインをブレンドするため、
収穫年を表示しないノンミレジメシャンパンとなりますが、
ブドウの出来の良い年には、その年のワインのみをブレンドして、ミレジメシャンパーニュとして収穫年を表示します。
7. 瓶詰ティラージュTirage
シャンパン酵母と糖分を混ぜた液体を加え、瓶詰し、瓶内二次醗酵に入ります。
摂氏20度で6気圧の炭酸ガスを得る場合、1ℓあたり24gの糖分が必要になる。
8. 瓶内二次醗酵ドゥジェム・フェルマンタシオンDeuxieme Fermentation
ワインは瓶内でゆっくり醗酵し、糖分が酵母の働きでアルコールと炭酸ガスに分解され、
炭酸ガスは瓶内でワインの中に溶け込んでいきます。
瓶内二次醗酵が終わると活動の終えた酵母が澱となり瓶内に残り、そのまま熟成に入ります。
9. 澱とともに熟成マチュラシオンシュールリーMaturation sur lies
澱と共に寝かせることによって、アミノ酸である澱は自己分解をはじめ、
旨みをワインへと戻していき1~2年で繊細な泡となります。
シャンパーニュの法律上ティラージュ後ノンヴィンテージは15カ月、
ヴィンテージは最低3年の熟成義務が設けられている。
この工程でワインはまろやかになり、複雑な香味が醸成される。
10. 動瓶ルミアージュRemuage
第2次醗酵後、瓶の側面に沈積した澱を瓶口に集める作業です。
ピュピトルと呼ばれる穴のあいた木の板にボトルをさし、二次醗酵で作られた澱は、
5~6週間に渡り毎日瓶を1/8ずつ回転させながら下向きに立てられ、
最終的には倒立させ、瓶口に集められて行きます。
11. 澱抜きデゴルジュマンDegorgement
澱が瓶口に完全に集まったら、冷凍槽に瓶口部分のみを浸し、
澱部分を-27℃の溶液に漬け凍らせ抜栓すると、
中のガス圧で凍った部分だけが飛び出して来て、澱を除去出来ます。
12. リキュール添加ドザージュDosage
澱を除去して減少した瓶内の不足分だけ、酵母が糖分を完全に分解してしまい糖分がなくなった瓶内に、
甘みのあるリキュール(同タイプのシャンパン原酒の古酒など)を加えます。
この時の蔗糖の量によってシャンパンの残糖量が決まります。
なお、この時添加する液体は門出のリキュールと呼ばれています。
13. 打栓ブシャージュBouchage
ドザージュが終わったシャンパンの瓶にコルクが打たれ、
圧力でコルクが飛び出さないように針金で締められます。
針金とコルクの上部を覆う金属の王冠の事をミュズレMusuletと言います。