南アフリカ
ワイン産地として急激に発展しつつある南アフリカはワイン生産量の9割を西ケープ州と偏っているため勉強もとてもしやすい産地です。南アフリカ=ワイン?と言うようになかなか結びつかない方もいるかもしれませんが、ソムリエ一次試験的には必ず抑えなければいけない産地ですのでしっかりと読んでクリアしていきましょう。
南アフリカのプロフィール
南緯27~34度で穏やかな地中海性気候。
西ケープ州は南極からの冷たい海流(ベンゲラ海流)の影響で緯度の割にはずっと冷涼な産地。
春と夏には南東からの強風(ケープドクター)が吹き、防虫と防かびに一役かっている。
サスティナビリティ(持続可能性)認定保証シールを2010年ヴィンテージから適用している。
以下の条件をクリアすることでシールを貼ることが許される。
①化学農薬の使用を極力抑え、害虫の天敵を取り入れる
②豊かな植物区の生物多様性を保護する
③廃水を廃止する
④農場で働く人々の健康と安全衛生を確保する
南アフリカの歴史
・1655年
ブドウの栽培開始
・1659年
オランダ東インド会社のヤンファンリーベックがケープでワイン造りをはじめる
・1918年
南アフリカぶどう栽培者協同組合連合KWVを設立
・1973年
原産地呼称制度WO(Wine of Origin)が制定
・1994年
アパルトヘイトの撤廃
海外市場にへむけた取り組みの強化がされ、質が向上した
南アフリカの主なブドウ品種
白ブドウ
・シュナンブラン=スティーン
・コロンバール
・ソーヴィニヨンブラン
黒ブドウ
・カベルネソーヴィニヨン
・シラー
・ピノタージュ
●シュナンブランはスティーンと言うシノニムを持ち栽培面積世界一を誇る
●ピノタージュはピノノワールとサンソーの交配品種でアブラハムペロード博士による発見のもの
ブレンドワインにはいくつかの呼び名がある。
【ボルドーブレンド】
南アフリカのブレンドスタイルとして主流なもの
【ローヌブレンド】
シラーをメインにグルナッシュやムールベルド、ヴィオニエを使い複雑さをだしたスタイルのこと
【地中海ブレンド】
シュナンブランを主体にしているもの
【ケープブレンド】
ピノタージュを主体に使用するもの。シュナンブランをブレンドした白ワインにも用いられる。
【キャップクラシック】
本場シャンパーニュで用いられている、スパークリングワインの製法・瓶内二次発酵方式。
南アフリカではこの造り方をキャップ・クラシックと呼んでいる。
またキャップ・クラシックのための生産者団体が1992年に発足。
昔から高品質なスパークリングワインの生産に意欲的な姿勢が見られている。
2020年までのヴィンテージは瓶内熟成の期間を最低9カ月にしているが2021年ヴィンテージから最低12カ月に変更になった。
南アフリカのワイン法と品質分類
原産地呼称制度(WO=Wine of Origin)が1973年に制定される。
ワイン産地を法的に保証するだけでなく、品種やヴィンテージについても規定し保護するもの。
品種名、ヴィンテージ、産地名を記載する際は85%以上含まれいなければならない。
ただしWO産地表示の場合は100%でなければならない。
ワインの産地と特徴
南アフリカのワイン産地の9割が西ケープ州に集中している。
西ケープ州にある6つの地域(リージョン)のなかでパール、フランシュック、ティルバッハ、ウェリントン産の酒精強化ワインのみボベルグという特別な呼称が与えられる。
北ケープ州は主にバルクワインを生産してきた。
バルクワインとは、150リットル以上の容器に詰められ輸入されたワインのことで、瓶詰めのワインと区別される。ほぼ9割が白ワイン品種でコロンバールが5割を占めている。
西ケープ州の主なワイン産地
沿岸(コースタルリージョン)地域
海洋性気候で降水量は1000mm以上あり灌漑の必要がない。
ケープタウン地区のコンスタンシアの甘口デザートワインは1986年に復活している。
①スワートランド
西ケープ州最大の地区で伝統的にフルボディの赤ワインと酒精強化ワインが造られてきた。 テロワールを反映した高品質なワイン生産者がスワートランド・インデペンデント・プロデューサーズ(SIP)を結成した。
②ケープタウン
コンスタンシア小地区は南アフリカワインの発祥の地で1986年ミュスカデフロンティニャンの遅摘みの甘口デザートワイン、コンスタンシアワインが復活した。
③パール
最大の輸出メーカーのKWVのホームタウン。地中海性気候でオリーブの栽培農家も多い。
地名の由来となったパールロックは巨大な一枚岩の花崗岩。
④ステレンボッシュ
南アフリカ最大のブドウ栽培面積と代表的な高級品種のワイン産地。
土壌は砂、花崗岩、頁岩、有機質を含む茶土(オークリーフ)と保水能力に優れた赤土(トゥクル)がある。
ブレードリヴァーヴァレー
南アフリカの栽培面積の約1/3を占める産地。シュナンブランとコロンバールの主要産地。
⑤ロバートソン
栽培面積としてはコロンバールが多いが、シャルドネに定評がある。
最近ではキャップクラシックの評価も高い。