ドイツ
ソムリエ一次試験で多くの人が避けて通る国が「ドイツ」。
ドイツ語を覚えることが難しく、かつ出題問題もさほど多くないことから
ドイツを避けても試験的には合格することはできるが、
勉強を進めていくと覚えることは多くないことがわかってくる。
旧世界のラストスパートとしてドイツとオーストリアを一気に覚えてしまえば、
旧世界のクリアはもう目の前となる。
まずはドイツを理解するとオーストリアも理解しやすいのでドイツはしっかり抑えておきましょう。
ドイツのプロフィール
ブドウ畑は47~52度と日本のサハリンとほぼ同緯度に位置する。
これは世界のブドウ栽培地の中でイギリスに次いで北限となる。
白ブドウの栽培面積が6割以上を占めており、中でもリースリングは世界最大の栽培面積を誇る。
甘口の白ワインのイメージが強いが、近年では辛口と中辛口のワイン需要が増え、総生産量の3分の2を超えている。
パールヴァインと呼ばれるドイツの弱発泡性ワインや、混醸法でつくられるロゼワインのロートリング、搾汁したブドウ果汁を未発酵のままで保存したズースレゼルヴェは試験的にはチェックしておきましょう。
ドイツの歴史
ローマ人がモーゼル川流域のトリアー近郊にエルプリンクを植樹したのが1~2世紀ごろで2世紀初めにはブドウ畑が造られた。
3世紀にはワイン皇帝プロブス(ローマ皇帝)が9世紀にはカール大帝がワイン造りを推奨したことにより発展した。
●15世紀後半から16世紀前半
年間平均気温の上昇を受け、ブドウの栽培面積は現在の3.5倍まで広がった。
●1775年
ヨハネスブルグ城で遅摘みのブドウから初めてシュペートレーゼが造られ、
1783年にはアウスレーゼが開発された。
●1786年
クレメンス ヴェンツェスラウスがリースリングを栽培するように命じ、
今のリースリング栽培につながっている。
●1960年代~1970年代
甘口ワインがブームとなり、ブドウ畑が拡大した。
ドイツの主なブドウ品種と交配
白ブドウ
・リースリング
・ミュラートゥルガウ=リヴァーナー
・グラウブルグンダー=ルーレンダー=ピノグリ
・ヴァイスブルグンダー=ピノブラン
・シルヴァーナー
黒ブドウ
・シュペートブルグンダー=ピノノワール
・ドルフェンダー
・トロリンガー=フェルナッチ=スキアーヴァ
・レンベルガー=ブラウフレンキッシュ
・シュヴァルツリースリング=ミュラーレーベ=ピノムニエ
・ドミナ
交配種
・ミュラートゥルガウ=リヴァーナー
リースリング×マドレーヌロイアル
・ケルナー
トロリンガー×リースリング
・ドルフェンダー
ヘルフェンシュタイナー×ヘロルドレーベ
・ドミナ
ポルトギーザー×シュペートブルグンダー
ドイツワインの品質分類
最初にワイン法が成立したのは1892年。
1901年の法の改正で天然ブドウ果汁のみを製造したナトゥアワイン定義され、保護された。
1971年ワインの格付けシステムを根本的に変える。肩書きの基準を数値化され、収穫時の果汁糖度に応じて格が上がる。
その糖分測定法をエクスレOechsieと呼び、比重計によるブドウ果汁の糖度測定法。
●ドイッチャーヴァインDeutscher Wein
ドイツ国内産のブドウのみを使用したドイツ国産ワイン。
ブドウ品種と収穫年の表示が可能。地理的表示は無しのワイン。
●ラントヴァインLandwein
26の指定地域を85%以上使用することが条件。
地理的表示付きのワインの中で最も生産規定は緩い。
●Q.b.A
特定栽培地域の13地域のうち、1つの地域で収穫されたブドウから造られたワイン。
ヴィティスヴィニフェラ系品種を使用し、最低アルコール度数は7度。
アルコール濃度を補うための補糖は許されている。ドイツワインの約59%を占める。
●プレディカーツヴァインPradikatswein
Q.b.Aよりも糖度が高く、ドイツワインの最高級のカテゴリー。
発酵前のブドウ果汁の糖度よって6つに格付けされる。
いかなる場合も補糖は許されていない。ドイツワインの37%を占める。
プレディカーツヴァインの糖度による肩書き
収穫時の果汁糖度(エクスレ度)によって以下の6つの肩書きに分けられる。
⓵カビネットKabinett
熟したブドウを用いる
⓶シュペートレーゼSpatlese
完熟したブドウを用いる
⓷アウスレーゼAuslese
完熟し一部は貴腐によって凝縮したブドウを用いる
⓸ベーレンアウスレーゼBeerenauslese
過熟か貴腐ブドウを用いる
⓹アイスヴァインEiswein
樹上で氷点下7度以下の冷気で凍結したブドウを圧搾し醸造する
⓺トロッケンベーレンアウスレーゼTrockenbeerenauslese
干しブドウ状にしぼんだ貴腐ブドウを用いる
ブドウ畑の格付け
ドイツのブドウ畑の格付けを推奨しているのはVDP. Die Pradikatsweinguterで会員数は200生産者と小規模ながらワイン造りには定評がある生産者が多く、影響力は大きい。
VDP.の4段階の品質基準
①グローセ ラーゲGrosse Lage
グランクリュに相当する最上の区画で収穫量は50hl/ha以下。
収穫は全て手摘みで行われ、産地で伝統的に栽培されている規定のブドウ品種を使用する。
②エアスレ ラーゲErste Lage
プルミエクリュに相当する優れたブドウ畑で収穫量は60hl/ha以下。
収穫はすべて手摘みで行われ、交配品種や国際品種も含まれる。
③オルツヴァインOrtswein
村名ワインに相当し収穫量は75hl/ha以下。
④グーツヴァインGutswein
エントリーレベルのエステートワイン。収穫量は75hl/ha以下。
ドイツの主なワイン産地
①アールAhr
②モーゼルMosel
③ミッテルラインMittelrein
④ナーエNahe
⑤ラインガウRheingau
⑥ラインヘッセンRheinhessen
⑦ファルツPfalz
⑧ヘシッシェベルクシュトラーセ
Hessische Bergstrase
⑨バーデンBaden
⑩ヴュルテンベルクWurttemberg
⑪フランケンFranken
⑫ザーレ ウンストルートSaale Unstrut
⑬ザクセンSachsen
⑭グレーヴェンマッハーGrevenmacher
⑮レーミッヒRemich
主な特定栽培地域と特徴
・ラインヘッセン
ブドウ栽培面積、ワイン生産量ともにドイツ最大の産地。
シルヴァーナーの栽培面積は世界最大。
・バーデン
ドイツ最南端の生産地。
・モーゼル
リースリングの生産量が約半分を占める産地。
栽培面積の40%が斜度30度以上で栽培は棒仕立てが多くみられる。
・フランケン
旧西ドイツで最も東に位置する産地。
・アール
赤ワインの生産比率が8割以上とドイツ国内では極めて高い。
赤ワインの楽園と呼ばれている産地。
・ザーレ ウンストルート
旧東ドイツ領でドイツの最北端の産地。
・ザクセン
旧東ドイツ領でドイツの最東端の産地。