ボルドー
「水のほとり」という古語がボルドーの語源とされている。
フランスのAOCの産地の最大面積を誇り、AOC法の制定を主導した産地でもある。
特徴
複数の品種をアッサンブラージュ(ブレンド)される。
シャトー所有のブドウ畑で収穫されたブドウを用いて醸造され、
瓶詰めまで一貫生産されたワインは
ミザン ブティユ オー シャトーMis en Bouteille au Chateauとラベル表記可能である。
※ブルゴーニュのようにAOC畑名はありません。
理由としては生産者の規模が大きい事があげられます。
地区によって生産者の格付けが制定されています。
歴史
1855年 パリ万博が開催される。ナポレオン3世の名で「メドック格付け」が実施される。
同時期ウドンコ病、ベト病、フィロキセラの被害を受ける。
偽ボルドーワインが横行する。
1935年 AOC法の制定
気候風土
北緯45度前後でメキシコ湾流(暖流)=ガルフ湾流の影響を受ける、海洋性気候。
年間日照時間は2000時間を超え、年間平均降雨量は900mmと雨も多く湿度も高い。
ワイン生産量540万hℓ(フランス内約11%程度)
栽培面積11万4600ha(AOCワインが約93%で赤がほぼ占める)
主要ブドウ品種
白ブドウ
・セミヨン
・ソーヴィニヨンブラン
・ミュスカデル
黒ブドウ
・カベルネソーヴィニヨン
・カベルネフラン
・メルロー
・マルベック
・プティヴェルド
ボルドー地方全体のレジョナルAOC
・ボルドーBordeaux 赤ロゼ辛口の白
・ボルドー スーペリュールBordeaux Superieur 赤半甘口の白
・ボルドー クラレBordeaux Clairet ロゼ
・クレマン ド ボルドーCremant de Bordeaux ロゼ辛口の白
メドック地区
ジロンド川の左岸に位置する地区。
ガロンヌ川からの砂利、ドルドーニュ川の中央山塊地帯からもたらす粘土質土壌が混ざり合う。
下流に行くほどメルローに適した粘土質土壌の割合が増えるため、
AOCメドックでは上流のAOCオーメドックよりもメルローの栽培面積は広くなる。
ワインはカヴェルネソーヴィニヨンとメルローのアッサンブラージュでつくる赤ワインのみのAOCです。
メドック地区内に下流のメドックと上流のオーメドックの2つのAOCがあり、
オーメドックの方が上質なワインを生みだします。
メドックの格付け61シャトーのうち、
AOCペサックレオニャンのシャトーオーブリオンを除く60シャトーは
全てオーメドックの域内に位置する。
・メドックMedoc
・オー メドックHaut Medoc
オーメドックのコミュナルAOC
・サンテステフSaint Estephe
・ポイヤックPauillac
・サンジュリアンSaint Julien
・マルゴーMargaux
・ムーリーMoulis
・リストラックListrac
メドックの格付け
シャトー・ラフィット・ロートシルトChateau Lafite-Rothschild | ポイヤックPauillac |
シャトー・マルゴーChateau Margaux | マルゴーMargaux |
シャトー・ラトゥールChateau Latour | ポイヤックPauillac |
シャトー・オー・ブリオンChateau Haut-Brion | グラーヴGraves |
シャトー・ムートン・ロートシルトChateau Mouton-Rothschild | ポイヤックPauillac |
第2級
シャトー・ローザン・ゼグラChateau Rausan-Segla | マルゴーMargaux |
シャトー・ローザン・ガシーChateau Rauzan-Gassies | マルゴーMargaux |
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズChateau Leoville-Las Cases | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・レオヴィル・ポワフュレChateau Leoville-Poyferre | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・レオヴィル・バルトンChateau Leoville-Barton | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・デュルフォール・ヴィヴァンChateau Durfort-Vivens | マルゴーMargaux |
シャトー・グリュオ・ラローズChateau Gruaud-Larose | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・ラスコンブChateau Lascombes | マルゴーMargaux |
シャトー・ブラーヌ・カントナックChateau Brane-Cantenac | マルゴーMargaux |
シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン Chateau Pichon-Longueville Baron | ポイヤックPauillac |
シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドChateau Pichon-Longueville Comtesse de Lalande | ポイヤックPauillac |
シャトー・デュクリュ・ボーカイユChateau Ducru-Beaucaillou | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・コス・デストゥーネルChateau Cos-d’Estournel | サン・テステフ Saint-Estephe |
シャトー・モンローズChateau Montrose | サン・テステフ Saint-Estephe |
第3級
シャトー・キルヴァンChateau Kirwan | マルゴーMargaux |
シャトー・ディッサンChateau d’Issan | マルゴーMargaux |
シャトー・ラグランジュChateau Lagrange | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・ランゴア バルトンChateau Langoa Barton | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・ジスクールChateau Giscours | マルゴーMargaux |
シャトー・マレスコ・サン・テクジュペリ Chateau Malescot Saint-Exuperi | マルゴーMargaux |
シャトー・ボイド・カントナックChateau Boyd-Cantenac | マルゴーMargaux |
シャトー・カントナック・ブラウンChateau Cantenac-Brown | マルゴーMargaux |
シャトー・パルメChateau Palmer | マルゴーMargaux |
シャトー・ラ・ラギューヌChateau La Lagune | リュドンLudon |
シャトー・デミライユChateau Desmirail | マルゴーMargaux |
シャトー・カロン・セギュールChateau Calon-Segur | サン・テステフ Saint-Estephe |
シャトー・フェリエールChateau Ferriere | マルゴーMargaux |
シャトー・マルキ・ダレーム・ベッケー Chateau Marquis d’Alesme-Becker | マルゴーMargaux |
第4級
シャトー・サン・ピエールChateau Saint-Pierre | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・タルボChateau Talbot | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・ブラネール・デュクリュChateau Branaire-Ducru | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・デュアール・ミロン・ロートシルト Chateau Duhart-Milon Rothschild | ポイヤック Pauillac |
シャトー・プージェChateau Pouget | マルゴーMargaux |
シャトー・ラ・トゥール・カルネChateau La Tour-Carnet | サン・ローラン Saint-Laurent |
シャトー・ラフォン・ロッシェChateau Lafon-Rochet | サン・テステフ Saint-Estephe |
シャトー・ベイシュヴェルChateau Beychevelle | サン・ジュリアン Saint-Julien |
シャトー・プリュレ・リシーヌChateau Prieure-Lichine | マルゴーMargaux |
シャトー・マルキ・ド・テルムChateau Marquis de Terme | マルゴーMargaux |
第5級
シャトー・ポンテ・カネChateau Pontet-Canet | ポイヤックPauillac |
シャトー・バタイイChateau Batailley | ポイヤックPauillac |
シャトー・オー・バタイイChateau Haut-Batailley | ポイヤックPauillac |
シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト Chateau Grand-Puy-Lacoste | ポイヤックPauillac |
シャトー・グラン・ピュイ・デュカス Chateau Grand-Puy-Ducasse | ポイヤックPauillac |
シャトー・ランシュ・バージュChateau Lynch-Bages | ポイヤックPauillac |
シャトー・ランシュ・ムーサスChateau Lynch-Moussas | ポイヤックPauillac |
シャトー・ドーザックChateau Dauzac | マルゴーMargaux |
シャトー・ダルマイヤックChateau d’Armailhac | ポイヤックPauillac |
シャトー・デュ・テルトルChateau du Tertre | マルゴーMargaux |
シャトー・オー・バージュ・リベラル Chateau Haut-Bages-Liberal | ポイヤックPauillac |
シャトー・ペデスクローChateau Pedesclaux | ポイヤックPauillac |
シャトー・ベルグラーヴChateau Belgrave | サン・ローラン Saint-Laurent |
シャトー・ド・カマンザックChateau de Camensac | サン・ローラン Saint-Laurent |
シャトー・コス・ラボリChateau Cos-Labory | サン・テステフ Saint-Estephe |
シャトー・クレール・ミロンChateau Clerc-Milon | ポイヤック Pauillac |
シャトー・クロワゼ・バージュChateau Croizet-Bages | ポイヤックPauillac |
シャトー・カントメルルChateau Cantemerle | マコーMacau |
グラーヴ地区
ガロンヌ川の左岸に位置する地区。
ガロンヌ川がピレネー山脈から運んできた砂利質土壌は水はけがよく、
日中の熱を蓄えるので、晩熟で温かい土壌を好むカベルネソーヴィニヨンを広く栽培しています。メルローとアッサンブラージュして作られ、半辛口から辛口の白ワインもつくられます。
3つのAOCを持つボルドー市の南の地区です。
グラーヴ地区で最も優れたワインを生むAOCのペサックレオニャンの生産可能色は赤と辛口の白ワインで、とても秀逸で1987年にAOCグラーヴから独立してできました。
グラーヴの格付けの16シャトーは全てペサックレオニャンです。
AOCグラーヴの生産可能色は赤と辛口の白で、
AOCグラーヴシュペリュールは貴腐または樹上乾燥により過熟した糖度の高いブドウから造る半甘口タイプです。
・ペサックレオニャンPessac Leognan
・グラーヴGraves
・グラーヴシュペリュールGraves Superieur
グラーヴの格付け
オー・ブリオンHaut Brion | ペサックPessac | |
パプ・クレマンPape Clement | ペサックPessac | |
ラ・ミッション・オー・ブリオンla Mission Haut Brion | タランスTalence | |
ラ・トゥール・オー・ブリオンLatour Haut Brion | タランスTalence | |
ラヴィル・オー・ブリオンLaville Haut Brion | タランスTalence | |
クーアンCouhins | ヴィルナーヴ・ドルノンVillenave-d’Ornon | |
オー・バイイHaut-Bailly | レオニャンLeognan | |
カルボニューCarbonnieux | レオニャンLeognan | 白 |
ドメーヌ・ド・シュヴァリエDomaine de Chevalier | レオニャンLeognan | 白 |
フューザルFieuzal | レオニャンLeognan | |
マラルティック・ラグラヴィエール Malartic-Lagraviere | レオニャンLeognan | 白 |
オリヴィエOlivier | レオニャンLeognan | 白 |
スミス・オー・ラフィットSmith Haut Lafite | マルティヤックMartillac | |
ラ・トゥール・マルティヤックla Tour Martillac | マルティヤックMartillac | 白 |
ブスコーBouscaut | カドージャックCadaujac | 白 |
ソーテルヌ・バルサック地区
水温の低いシロン川がガロンヌ川へと合流する地点は霧が発生しやすく、
良質な貴腐ブドウが生まれます。
主なAOCはソーテルヌSauternesとバルサックBarsacの2つですが、
カーディヤック、ルーピアック、サンクロドゥモン、セロンの位置関係は試験対策には必須です。
ソーテルヌ・バルサックの格付け
シャトー・ディケムChateau d’Yquem | ソーテルヌSauternes |
第1級
シャトー・ラ・トゥール・ブランシェChateau la Tour Blanche | ボンムBommes |
シャトー・ラフォリィ・ペラゲChateau Lafaurie-Peyraguey | ボンムBommes |
シャトー・クロ・オー・ペラゲChateau Clos Haut-Peyraguey | ボンムBommes |
シャトー・ド・レイヌ・ヴィニョーChateau de Rayne Vigneau | ボンムBommes |
シャトー・シュデュイローChateau Suduiraut | プレニャックPreignac |
シャトー・クーテChateau Coutet | バルサックBarsac |
シャトー・クリマンChateau Climens | バルサックBarsac |
シャトー・ギローChateau Guiraud | ソーテルヌSauternes |
シャトー・リューセックChateau Rieussec | ファルグFargues |
シャトー・ラボー・プロミスChateau Rabaud-Promis | ボンムBommes |
シャトー・シガラ・ラボーChateau Sigalas Rabaud | ボンムBommes |
サンテミリオン地区
ドルドーニュ川の右岸に位置する地区。
粘土質土壌が堆積している。
大陸性気候の影響もあり、やや早熟なメルローが多く栽培されている。
世界遺産の街サンテミリオンの周辺に全て赤ワインのAOCが広がっていて、
メルローを中心としたふくよかで滑らかなワインがつくられます。
AOCサンテミリオンの北部にはサンテミリオン衛星地区と呼ばれるサンテミリオンの名を冠する4つのAOCがあります。
ポムロール地区
サンテミリオンの北西部に位置する小さな産地で、
ポムロールは赤ワインのみが認められています。
鉄の酸化物などのミネラル分を含んだ「クラス ド フェール」と呼ばれる土壌から、
個性的で官能的なワインが生まれます。
AOCポムロールは栽培面積が約800haと小規模ですが、
つくられるワインは非常に評価が高いです。
またAOCラランドポムロールは柔らかなワインを生みだします。
ボルドー地方の産地の中では注目を浴びたのが比較的遅く、
メドック、グラーヴ、サンテミリオンのような格付けはありませんが、
5大シャトーにも負けないほどの赤ワインを生みだしています。
アントゥドゥメール地区
「2つの海の間」を意味し、ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた地区。爽やかで辛口の白ワインがつくられる。